豆寄席第19回『DX時代のデジタル・シティズンシップ談義~子どもから大人まで』開催報告
本稿は、豆寄席第19回の開催報告です。
開催概要
タイトル | DX時代のデジタル・シティズンシップ談義~子どもから大人まで |
講演者 | 国際大学GLOCOM 准教授・主幹研究員 豊福晋平氏 青山学院大学大学院社会情報学研究科 特任教授 阿部和広氏 |
開催日時 | 2022年6月30日(木)18時30分~20時00分 |
講演概要 |
DXやデジタルというキーワードはよく聞くようになった現在でも、「デジタル・シティズンシップ」という言葉は聞きなれないかもしれません。書籍 『デジタル・シティズンシップ+ やってみよう!創ろう!善きデジタル市民への学び』の冒頭の漫画『でじたるしてぃずんしっぷってなに?』の中でも、ダイスケ先生が「簡単に言うと、責任を持ってテクノロジーを使って創り参加する能力のことです」と説明されていますが、責任?創る?参加する?能力って?という具合にハテナが頭をぐるぐる巡ります。ところが実はこの能力、今の時代に子どもから親御さん、ビジネスパーソンを含むすべての人たちに必要な能力になってきたという現実があります。 ミニ講演2件: |
講演の流れ
豊福先生のミニ講演「デジタル世界で子どもたちが自律するために、我々には何が出来るか」では、次を解説いただきました。
1.技術者として保護者としてどう社会(学校)とかかわるのか
- 分断と統合
- 目標はどこにあるか
- 保護者としての立ち位置とはたらきかけ
阿部先生のミニ講演「デジタル市民の戸惑いと課題」では、次を解説いただきました。
1.Scratchとはなにか、一般的な認識
ビジュアルプログラミング言語
- MITメディアラボが開発
- 子供用の教育用プログラミング言語
- 小学校のプログラミング教育で使われている
- プログラミング的指向が養われる
2.Scratchとはなにか、本当はどうなのか?
続いて、参加者からの質問をベースに対談いただきました。
当日の様子
普段の豆寄席はITエンジニアのご参加が多いのですが、今回は学校教育に携わる方に多くご参加いただきました。
参加者からは、学校教育の現場での課題感の提起や解決のヒントを求めた質問が次々と出て、講師の先生が軽快に、時に悩まれながら回答なさっていました。
今回得られたこと(所感)
「ギガスクール」という言葉だけは知っていましたが、これが学校教育の前提を変えるものだとは知りませんでした。これまでタブレットは学校で先生の指導のもと使う教具であったのが、ギガスクールになると子供が勉強する道具であり、学校生活をおくるコミュニケーションツールであり、遊びの道具ともなり日常に浸透しているそうです。
具体的には、学びのアウトプットがデジタルになっている、デジタルの方が伸び伸びアウトプットしているそうです。これは良い面ですが、もちろん良い面だけではないのです。ゲームはダメだけれど動画は見てもいいの?という行動規範の話もありますが、Scratchという小学生向けのプログラミング言語では不味いことが起こっているそうです。Scratchはコミュニティとセットになって利用するものだそうで、このコミュニティが荒れる傾向にあり、先生や大人が後手に回っている、蓋をしようとしているそうです。こうなったのには複合的な理由があるそうです。このまま、短絡的に正義感を振りかざしてそれが攻撃性をもってしまったり、深く傷ついたりする可能性も考えられなくはないと感じました。
現代においては、テクノロジーが一般化し常識がアップデートされています。そこで、子供も大人も、これからの常識に対応できるよう、デジタル・シティズンシップという新しい心構えを理解して、行動できるようになることが必要だと知りました。生きていくうえで必要なスキルになりそうです。
デジタル・シティズンシップについては書籍の紹介がありました。
「デジタル・シティズンシップ プラス やってみよう! 創ろう! 善きデジタル市民への学び」
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b602348.html
今後の 豆寄席 へのご参加もお待ちしております!