形式手法入門講座

概要

形式手法(Formal Method)~形式的方法とか単に”フォーマル”とも呼ばれます~が、ここにきて(特に組み込み系領域で)注目を集めています。広く話題に上るようになったのは最近ですが、形式手法の誕生は古く(約30年前)、”ソフトウェアエンジニアリング”とほぼ同じ歴史を持っています。ただこれまでは、数学をベースとしているためか、その使用は高い信頼性を求められる一部のドメインや一部の専門家にとどまって、形式手法自身は継続的に発展し、成果を残してきてはいるものの、広く普及するには至りませんでした。しかし、近年、ソフトウェアに一層の品質・信頼性が求められるようになったこと、あるいはまたそういった対象が増えてきたこと、他方、VDMやSpinといったツールが登場し、成功事例が報告されるようなこともあり、その状況は変化しつつあるようです。


形式手法に関する関心が高まるのはもっともであり、歓迎すべきことですが、一方、問題/困ったことも顕在化してきました。一つはきちんとした教育講座がほとんどないことです。ツールの紹介セミナーや事例紹介セミナー、また専門的な場での報告はあるものの、実践視点で体系的に形式手法を教える講座はほとんどありません。第二はツールを中心としたセミナーの”弊害”です。そこでは必然的にツールによる仕様の実行・検証に力点が置かれますが、現在のツールの限界もあり、結果として”プログラミング言語が数学的言語に変わっただけ”とか”中間言語が増えただけ”といった誤解を与えているようです。


こういった状況を受け、本格的な教育講座をと作ったのが本講座です。我々は、ソフトウェアエンジニアであれば形式手法は勉強すべき or 勉強する価値のあるものと考えています。形式手法は、VDM++やZ++といった名前からも推察できるように、オブジェクト指向と相互補完的です。また形式手法の考え方は、一般の仕様作成でも大いに参考になり、仕様の質を向上させてくれるはずです。そしてなにより形式手法はとても楽しいものです。


形式手法に関心をお持ちの方、豆蔵の講座で形式手法の扉を開けてみませんか!

日数

1日 ~ 2日

時間

6時間/日 ( 10:00 ~ 17:00 )

教育受講料(税込)

オンサイト : 550,000円~1,100,000円
※想定受講者数20名。受講者数が20名を超える場合は費用が変わります。

対象者

形式手法に関心のある方

前提条件

特になし

到達目標
  • 形式手法の種類と各々における形式化の考え方を体得し、人に説明できる。
  • 形式検証・証明の目的、実施概要を体得し、人に説明できる。
  • 形式手法における段階的洗練の考え方を人に説明できる。
  • オブジェクト指向と形式手法の各特長、相互補完の考え方・現状を人に説明できる。
講師より

我々は、ソフトウェアエンジニアであれば形式手法は勉強すべきor勉強する価値のあるものと考えています。形式手法は、VDM++やZ++といった名前からも推察できるように、オブジェクト指向と相互補完的です。また形式手法の考え方は、一般の仕様作成でも大いに参考になり、仕様の質を向上させてくれるはずです。そしてなにより形式手法はとても楽しいものです。


形式手法に関心をお持ちの方、豆蔵の講座で形式手法の扉を開けてみませんか!

内容

1. はじめに
 

2. 形式手法概観
1) 形式手法の背景/課題とするところ
2) 形式手法とは
3) 形式手法の起源
4) 形式手法発展の歴史
5) 形式手法の種類と代表的手法
6) “形式”とは
7) 形式手法の範囲
 

3. 集合や関数の基本知識
1) 命題
2) 述語
3) 集合
4) べき集合
5) 直積
6) 関係
7) 関数
8) 列
 

4. 形式仕様記述
1) モデル指向型
2) プロパティ指向型/代数型
3) プロセス型
 

5. 形式検証・証明
1) 証明とはなにか
2) 証明の対象
3) 証明の基本的な構造
4) ホーアの表明
5) ダイクストラの最弱事前条件
6) モデル指向型における証明の観点
7) 代数型仕様における検証の観点
8) 自動化について
 

6. 段階的な詳細化
1) 段階的詳細化とは
2) モデル指向型における詳細化
3) 代数型における詳細化
 

7. モデル検査
1) モデル検査とは
2) 到達性解析
3) 進行性解析
4) 並行プロセスの遷移図表現
5) 時相論理での性質記述
6) 時相論理とは
7) SPINの時相論理表明の判定
 

8. 形式手法の適用事例
1) 古典的な事例
2) 国内の事例一覧
3) その他事例一覧
4) やや詳細な事例紹介
5) 規格等
 

9. LFM(Light Formal Methods)
 

10. 形式手法の活用に向けて
1) 形式手法がもたらす効果とその構造
2) 形式手法の適用レベル
3) オブジェクト指向と形式手法
4) 参考:Correctness by Construction