ソフトウェア構成管理基礎講座

概要

「ソフトウェア構成管理」(以降SCMと称します)は、CMMやソフトウェアプロダクトラインにおいて、ソフトウェア開発全体を支える基盤となるプロセスとして位置付けられており、その重要性が広く認知されてきています。そして既に多くの開発現場にSCMツールやプロセスが導入されています。


ところがここ数年、SCMの改善に関するコンサルティングの依頼が増えてきています。原因としては、以下のような要請からSCMが複雑化していることが挙げられます。

  •  複数機種、複数仕向けといった多くのバリエーションの並行開発
  •  ソースコードやドキュメントの組織的な共有化
  •  開発拠点の分散化
  •  etc...

上のような課題を解決するために、高機能なSCMツールを購入し、それに合わせてプロセスを修正するといった改善活動がよく行われますが、期待した効果が得られていないケースが多く見受けられます。結果として、購入したツールの一部の機能だけが利用される、もしくは全く利用されなくなることも少なくありません。


そのような失敗を回避するためには、SCMについて正しく、実践的な知識を習得し、現場の課題に合うプロセスやツールを選択・導入する必要があるのですが、残念ながらSCMに関する情報源は非常に少ないのが現状です。特に日本語では、書籍も数えるほどしかありません。CMM、プロダクトライン、SWEBOKにもSCMの説明がありますが、一般的な話ですので、現場に適用するにはそれなりのノウハウが必要になります。


そこで本講座では、SCMに関する重要な概念や活動内容等の基礎的な知識をしっかり習得するとともに、実践上のポイント、支援ツールの選定作業、ソフトウェアプロダクトラインのような先進的な利用での留意点といった、実際の開発現場で役立つ知識についても習得します。

日数

1日

時間

6時間 (10:00 ~ 17:00)

教育受講料(税込)

オンサイト : 440,000円
※想定受講者数20名。受講者数が20名を超える場合は費用が変わります。

対象者
  • 構成管理担当者/ビルド
  • インテグ担当者/開発インフラ
  • 設備管理者/現場開発者/現場管理者/プロセス改善推進者/上位管理者
前提条件

特になし

到達目標

以下が説明できるようになります。

  • ソフトウェア構成管理に関わる用語・概念
  • ソフトウェア構成管理の活動の全体構成
  • ソフトウェア構成管理の各活動の目的・実施事項・要点
  • ソフトウェア構成管理活動を管理するための計画・監督活動の概要
  • ソフトウェア構成管理を支援するツールの機能概要と代表的なツール

ソフトウェア構成管理活動を実施できるようになります。
ソフトウェア構成管理活動の改善検討、定義を始められるようになります。

内容

1. はじめに
 

2. 構成管理とは
1) 構成とは
2) 構成管理を通して実現したいこと
3) 構成管理の目的(まとめ)
4) 不適切な構成管理がもたらす典型的な問題
 

3. 構成管理の基本概念
1) 構成
2) ベースライン
3) 構成 ふたたび
4) ライブラリ
5) バージョン・リビジョン
6) バリアント
7) 基本概念間の関係
 

4. 構成管理の活動
1) SCMの全体構成
2) SCM環境の構築/整備
3) ベースラインの確立
4) ベースラインの変更管理
5) ソフトウェアビルディング
6) ソフトウェアリリース
7) CI/U状況の記録
 

5. 構成管理の管理的な活動
1) SCMの計画
2) SCM実態報告
3) SCMの監督
4) SCMの監査
 

6. 構成管理のツール
1) 構成管理ツールが備える機能
2) 構成管理ライブラリ機能の概要
3) 変更要求管理機能の概要
4) リリース機能の概要
5) 代表的なツール
6) 分散開発における構成管理システム
7) 自動ビルドツール
 

7. 複数製品間・多バリエーションの構成管理
1) 典型的事例
2) メインストリーム・ブランチ
3) 複数製品間・多バリエーションの構成管理の課題と要点
4) 支援ツール例
 

8. まとめ