Agile Japan 2018

豆蔵の中の人ナカサトのヒトづくり・モノづくり・コトづくりへ一言 第7回

中佐藤 麻記子

記念すべき10回目のAgile Japan

2018年7月19日、Agile Japan 2018というイベントが開催されました。
※ 各セッションの資料も順次公開予定です。

私は2015年から今回まで実行委員を務めていて、企画段階から関わっています。特に今年は10回目のAgile Japanということで、ここ数年実施していたセッション公募をしないで、各実行委員の「ワガママ企画」をしてみたり、過去の実行委員のみなさんを招待したりしました。そこで今回は、その一端をみなさんにお伝えします。

 

基調講演1

複数人でひとつのプログラミングを行う「モブプログラミング」の発案者、Woody Zuillさんの講演です。実行委員の中にモブプログラミング大好きな人がいて、彼のここ数年の希望が届き、初来日となりました。数日前から日本にいらしていたのですが、一人でTDRに行ったり、前夜祭にも来てもらったり、当日もスタッフ集合時(朝7時!)に既に会場にいて、基調講演終了後も展示会場のモブプログラミングの場にずっといたりと、パワフルかつフレンドリーな方でした。

AgileJapan_2018_様子
※ 朝のスタッフ集合写真に既にWoodyさんがいます。最後列左から3人目

 

基調講演は、「モブプログラミングと”フロー”の力」というタイトルで、モブプログラミングを一度でも体験したことがある人なら、「そうだよね」と、納得する内容です。タイトルの中の”フロー”という言葉には、複数の意味があり、個人的にも、現代の「プログラミングの位置付け」についてこの頃考えていた内容を再認識することができました(この話はまた別の機会に)。

 

基調講演2

ひとつめの基調講演者がエンジニアであるところから一転、ふたつめの基調講演は、ビジネス側のJapanTaxiの川鍋一朗さんです。実行委員内で最初に「川鍋さんを呼びたい」と言ったのは実は私で、それも昨年から言っていました。昨年はタイミングが合わず、2年ごしの希望がかないました! 「ボクはエンジニアじゃないので」とはおっしゃっていましたが、川鍋さんの話の中に出てくる「リアル×IT」の可能性に、ワクワクしたエンジニアが多かったのではないでしょうか。「現業も大事、ITも大事」という言葉が複数回出てきて、そこに絶妙のバランス感覚を感じました。

もう一つ、個人的に印象深かったのが、「官・政・民」をつなぐ動きをされていることです。よく日本で新しいビジネスが出てこない理由の一つとして、規制が多いことを挙げ、法律や官僚をディスることがありますが、川鍋さんは「彼らも本当はやりたいんですよ」と言って、いかに三者のギャップを埋めていくか、という行動をされています。

ここはお話を聞くまでは私も誤解していたことなのですが、単に「Uber対抗」ではない、「タクシー業界」の可能性、そこに気づける先見性に改めて目をみはりました。

 

おまけで自分のワークショップも

ついでに、私の関わったセッションもちょっとだけご報告。ひとつが「コードなくして設計なし/設計なくしてアジャイルなし」というセッション。15分 × 3回のイテレーションで、設計してコードも書く、というなかなか無茶ぶりなやり方ですが、みなさん、結構ついてきてくださいました。私が言いたいことが伝わったかどうかは... 参加してくださったみなさんの判断に委ねます。

もうひとつのセッションは、同じく実行委員の伊藤さんとの共同で、「アジャイルを社内に広めるのは難しい? ~普及展開の壁を乗り越える~」、こちらもワークショップです。各社にいらっしゃる「アジャイルの普及展開」をミッションとされている方々に集まっていただき、それぞれの悩みや取り組みをワールドカフェで共有いただきました。こちらは、参加者間のノウハウ共有が目的なので、主催側から伝えたいメッセージはなかったはずなのですが、最後にガマンできず、一言言い放って終わりました。ある程度、受けとめてもらった...かな。

2つのワークショップを主催してみて感じたこと。よく「日本人は引っ込み思案なので、こういうワークショップでいきなり知らない人とディカッションは難しい」という人がいますが、あれ、ウソです。主催者として発言しやすい「場づくり」は心がけましたが、2つのワークショップとも(そしてこれ以外のワークショップでも)活発なやりとりがあり、会話が途切れることはありませんでした。

 

まとめ

今回のAgile Japanは参加者550人、その中で初参加者400人という、過去最大規模になりました。さらに驚くべきことに、参加募集が早々に満席になってしまったり、スポンサー募集さえ締め切らざるをえないという状態でした。さらにスポンサーの顔ぶれやスポンサードの動機も、今までとは違った傾向がありました。アジャイルがここまで浸透したんだな、ということを、しみじみと実感します。

さまざまな誤解や誤用もはらみつつ、もうアジャイルの普及に後戻りはないでしょう。あたりまえになったアジャイルの、これからが楽しみです。