全4回『DXリスキリングセミナー』の第1回目「マインドセット編 -DX時代のITエンジニアのあり方-」参加リポート

目次

  • はじめに
  • 講師紹介、第1回セミナー概要
  • セミナーの流れ
  • 日本のDX人材の現状と求められるスキル
  • トラパタとまなパタの紹介
  • Q & A
  • 所感
  • 最後に
     

はじめに

豆蔵では、お客様のデジタルトランスフォーメーション化(DX)に関する取り組みの中でも、重要な課題であるDXを推進するための人材育成支援を展開しています。

2023年6月より、ITフリーランス向け案件紹介サービスを展開する株式会社フォスターネットと豆蔵は、全4回で構成される「DXリスキリングセミナー」を開催しました。

今回は、第1回目のセミナーとなる「マインドセット編 -DX時代のITエンジニアのあり方-」の内容について紹介します。
 

講師紹介、第1回セミナー概要

講師:羽生田栄一(株式会社豆蔵・株式会社コーワメックス 取締役 グループCTO)
日時:2023年6月8日 19時~20時
会場:zoomによる開催
 

セミナーの流れ

豆蔵の羽生田より、以下の流れでDX人材に求められる考え方やスキルを説明し、DX推進の取り組み方や学習の試みについて、2つのパターンランゲージをヒントに解説しました

  • 日本におけるDX人材の現状
  • DX人材に求められるスキル
  • 「トランスフォーメーションに対応するためのパターンランゲージ(トラパタ)」の紹介
  • 「大人の学びパターンランゲージ(まなパタ)」の紹介
     

日本のDX人材の現状と求められるスキル

日本はDX推進に注目はしているものの、ビジネスに生かすことまで視野が追い付いていない現状にあるそうです。実際に、IPAのDX白書2023に基づいて以下を挙げていました。

  • DX推進の人材確保について8割以上の企業が不足を自覚している。
  • 企業がDX人材不足を自覚している要因の1つとして、40.0%がDXを推進する人材像を「設定していない」ことが課題である。

日本ではDX推進が遅れている一方で、このような現状を新たなビジネスチャンスとして認識すべきであることを強調していました。

実際にDXを推進するために必要なスキルについて、問題領域―開発領域、ひとー対象の2軸で説明されていました。従来のエンジニアはテクノロジーが得意分野の中心だったものが、DX時代では、現場の知見やコラボ型ワークスタイル、アジャイル開発の姿勢なども含めて、様々なスキルがITスキルと並行して重要視されてきているそうです。ここで大事なのは、自分の得意分野だけでなく、他領域にも少しずつ興味や学習テーマを広げていく必要性について言及しました。もちろん、全ての範囲ができる人はいないため、それぞれの得意分野を生かしながら、チームを運営する経験をもつことが重要だそうです。

 

IT人材の課題地図
IT人材の課題地図
 

トラパタとまなパタの紹介

組織の中でのDX推進に関する仕事のヒントとして、IPAが制作した「トラパタ」を紹介しました。「トラパタ」はDX推進に関する調査から得られた成功・失敗エピソードをパターン化したものです。以下のようなDX推進に必要な姿勢・思考方法が記載されています。 

トラパタの一例
トラパタの一例
 

他にIPAが実施した調査から、日本人技術者は世界レベルで見るとあまり自己学習していないことを説明していました。この現状から、途中で挫折しないような学習の仕方をまとめた「まなパタ」を紹介しました。

これからの時代は、書籍や動画視聴といった受動的な学習だけでなく、勉強会などのコミュニティで学びあう・教え合う経験や人前で実演できるといった自発的な学習姿勢も必要になることを説明しました。

まなパタの一例
まなパタの一例
 

Q & A

セミナーはzoomのみの開催でしたが、終了後の質問コーナーでは、多くの質問が寄せられました。時間の都合上、全ての質問に対して回答できませんでしたが、一部の質問をご紹介いたします。

Q:DX時代のエンジニアはどのような資格を取得したら良いでしょうか?
A:資格の取得も大事ですが、プログラミング言語で行っていることをわかりやすく自然言語でも論理的に説明できるようにするスキルが今後とても大事になっていくと考えています。DX時代では、AIをペアプログラミングやペア・シンキングの相棒(エージェント)と考えて対話の相手として、自分も論理的・批判的に考えるし、さらに、AIに自分の思考結果の足りない箇所を補ってもらえるように質問する力を培ったほうが良いです。ロジカルシンキングやクリティカルシンキングを意識しながら生活することで、AIにはない創造性を身につけることが、これからは求められるでしょう。

Q:DX時代における今後のトレンドは何でしょうか?
A:いま隆盛しつつある生成系AIと、もう1つはそれとは逆にAIの誤りを正しく検証するAIを前提としたテスティング技術および形式手法の技術が注目されてくると思います。生成系AIのコード生成能力はどんどん高まっていくでしょうが、原理上、AIの誤りはゼロにはならないからです。
 

所感

今回セミナーに参加したことで、DXに求められるマインドセットについて、とても勉強になりました。筆者はDX業務の経験はまだありませんが、以下の点が印象に残りました。

  • これからのエンジニアはコミュニケーションが重要視されていること
  • 自分の得意分野から少しずつ興味や学習テーマを広げていくこと
  • 失敗を恐れず、自発的に知識を獲得する姿勢をもつこと

日本では失敗を恐れて新たな挑戦がしづらいという特徴があるため、トラパタやまなパタが果たす役割は非常に大きいと感じました。豆蔵でも、DX人材育成ではテクノロジーに加えて、学習やコミュケーション場面での自発的な取り組みを重要視しているため、改めて必須なスキルであると思いました。
 

最後に

豆蔵では、ベテランのITエンジニアが多数在籍しており、様々な案件を通した技術のスキルトランスファーを重視しています。そのため、ITエンジニアとして、実践的に成長することが可能です。また、社員が常にスキルをアップデートできる学習環境が整備されています。例えば、オンライン学習教材の提供や、豆寄席という社内外の講師による技術勉強会を定期開催しています。さらに、特定の資格を取得することで、報奨金が支給される制度もあります。このような環境であるため、社員一人一人が新たなスキルを習得しながら仕事をできることが特徴です。ぜひ、ご興味のある方は豆蔵のホームページをご覧ください。