【事例】大手商社様における現場推進型DX支援

概要

昨今、「DX」に対する取り組みにおいて、情報システム部門や情報子会社ではなく、ユーザ部門が主体となって『現場推進型DX』とも言える、ボトムアップ型の取り組みを行っている企業も少なくありません。

三菱商事グループの鉄鋼総合商社である、株式会社メタルワン様もそういった取り組みを行っている企業であり、弊社サービスである「RPAOffice®」、「現場推進型DX支援サービス」をご活用いただいています。

顧客の目的・課題

同社においては、2017年度からデジタル活用による働き方改革の一環として、ITを活用した様々な取り組みを行っており、現在は業態変革つまりDXを目指す取り組みにまで拡大、最終的には鉄鋼業界全体の変革を目指しています。

このために、デジタイゼーション→デジタライゼーション→デジタルトランスフォーメーションの3stepで取り組んでいます。
 

支援内容

1. RPAの全社活用

同社の取り組みを紹介するにあたり、RPAの活用は欠かせない要素となります。
というのも、当時まだ国内では本格導入の実績も少なく、PoC止まりの企業が多かった中、DXに対する社員のタッチポイントを広げる為に、「社員が誰でも参加できるRPAコンテスト」という企画を実施、その取り組みはメディアにも取り上げられ、ユーザ企業の現場社員が率先してITを活用する先行事例として広く紹介されました。

この取り組みにおいて、『RPA Lab』と呼ばれる週次での対面支援、メールなどでの問い合わせ対応と言った技術的な支援から始まり、翌年からは当時の経営企画部内に設立されたRPAの統括・推進をつかさどる『業務改革推進室』の支援として、展開のためのルール(規定・開発標準)策定、組織横断で行う業務の洗い出し、手順を標準化した上で「全社標準ロボ」として横断的に利用できるRPA化の開発などの支援をさせていただきました。

尚、開発においては、外部委託によくある「開発者しかメンテできない」というようなことがないよう、極力シンプル、かつ、再利用しやすい構成とし、開発ユーザのベースにも利用できるようにし、さらに、基幹システムや取引先のWebシステムなど、多数の業務で共通的に行う操作については、「オリジナル部品」としてテンプレートを作成、これにより品質を一定にし、開発ユーザの負担も減らしています。

図:RPAOfficeRの作業内容(概要)
図:RPAOffice®の作業内容(概要)

 

これらの支援については、個々の作業ごとの契約ではなく、「RPAOffice®」の1契約内で行っており、特定の支援内容だけではなく、開発者から推進部門までの様々な支援をワンストップで提供することが可能となっています。
また、1人月単位の(フル)アサインではなく、用途に合わせた複数名のメンバによるチーム編成で、最小限の工数での契約が可能であり、「期待したスキルに満たない」、「ハイスペック要員は空きがなく、代理要員を提案される」、「(人数単位の契約なので)スケールしたくても費用がかさむ」、「以前の担当との引継が不十分で手間がかかる」、「契約外の内容なので請けられないと断られた」と言ったお悩みに対し、最適な支援内容が提供可能なサービスとなっています。
「RPAOffice®」は現状、工数ボリュームや体制に応じたプラン(Small/Large/Custom/Ticket)をベースとしてサービス展開しています。

同社においては、Customプランとして、四半期単位でその契約内容とボリュームの見直しを行い、その時のニーズにフィットした契約を行っております。

図:RPAOffice®の標準プラン
図:RPAOffice®の標準プラン

 

2. After RPAの取り組み

同社では、2021年からは『デジタル変革推進部』が発足され、よりDXに対しての組織的な取り組みを強化しています。

その一つとして、RPAコンテストの上位メンバから構成される「MO Valley」というプロジェクトを立ち上げ、各事業部門の垣根を超えた取り組みを行っています。
メンバが業務上の課題を洗い出し、その課題に対してITを活用して解決を目指す、正に現場主導型のDXプロジェクトとなっていますが、よくある業務の傍らで行うおまけプロジェクトではなく、何割かの工数を割り当て、実務と兼務で行う投資プロジェクトとも言えます。
メンバが「こういった事をやりたい」というToBe像を描き、それを要件に落とし込んでいった上でプロトタイプを作成、それをベースに社内や顧客へのヒアリングやテスト運用を行い、改修・拡張をアジャイリーに行っていくという進め方で行いました。

取り扱うテーマとして、営業担当と顧客間でのコミュニケーションにおける課題を取り上げ、顧客価値の向上も見据え、Webアプリを介したより効率的な情報連携を目指し、そのアプリ開発と運用の為のバックグラウンドのデータ連携システムの企画から開発を支援いたしました。
 

図:「MO Valley」プロジェクトで開発したユースケースイメージ
図:「MO Valley」プロジェクトで開発したユースケースイメージ

 

このプロジェクトでは、プロトタイピングで「Google AppSheet」、本番化で『Microsoft PowerApps』といったノーコード・ローコードツール(aPaaS)やSaaSのサービスを活用し、データ連携においてはRPAを活用する事で、制約はあるものの、フレキシブルさとスピード感のあるシステム構築しています。
弊社では、ToBe像のラフイメージから要件への落とし込みである上流設計のアドバイス、どういったITツールが活用できるか?どういったものを構築すればいいか?といった全体設計のコンサルティングに加え、プロトタイプの作成や、本番システムの開発を支援いたしました。

「現場推進型DX支援サービス」では、このようなスモールスタートでのDX推進にも、RPAOffice®同様に、特定の支援内容だけではなく、アイデア出しから運用までワンストップでの支援が可能なサービスとなっています。

 

効果

RPA導入においてよく言われる、削減時間や人員削減といった定量効果だけではなく、人材育成や企業価値に繋がる定性効果も尊重し、社員のエンゲージメント向上にも一役買っています。
定量効果として見ても、RPAにおいては全社標準ロボット 45体 個別ロボット94体の計139体のロボットが運用されており、利用者についても全社展開のみならず、グループ会社含め広がっております。MO Valleyで作成したアプリは、既に6社でご活用いただいております。
 

顧客の声

デジタル変革推進部 業務改革ユニット 矢島様・山口様

RPAOffice®の契約におきましては、オリジナル部品の作成による品質の一定化や、オリジナル部品が使用できるものについて予めユーザの開発開始時にシナリオの枠組みに組み込んでいただくことでユーザがゼロからスタートするといった手間が省けています。加えて、ロボットの平準化も図れており、大いに弊社のRPAの活用・展開の取り組みに寄与いただいております。
RPA開発におきましては、RPAを活用したい業務について現場担当者より相談させていただく際に、意図を汲み取った上で開発を進めていただいています。また、弊社の業務内容・利用システムをよくご理解いただいていることで、円滑なコミュニケーションと的確なご対応をいただいております。
 

デジタル変革推進部 デジタル戦略ユニット 川田様

初めてDXに挑戦することとなり、取組むテーマを決めToBe像のラフイメージを描き、まずはプロトタイプ作成を、と考え既知のツールを触ってみたものの今一つ進め方に戸惑っていました。そこで、RPA開発でお世話になった豆蔵様に相談させていただくことにしました。
当初より綿密な打合せを通じ要件整理から入って頂き、要件にマッチしたツールの提案、PoC、本番機開発、及び、バージョンアップまでご支援いただいたことで無事リリースすることができました。
伴走いただいたことで、個人としてプロジェクト推進の考え方も習得することができ、継続的な取組みに繋げられると考えております。
 

今後の展望

現在、自社のみならず一部のグループ会社においてもRPAを開発・活用していますが、今後は個社個別ではなく、全体最適の観点から共通業務に係る業務については、標準ロボットを開発・活用する体制や環境を構築したいと考えています。
また、MO Valleyで行った、社内事業創造の取り組みに関連したサービスやアプリケーションの企画・開発についても、社内DX人材の育成も含め、今後もどんどん力を入れていきたいと考えています。
 

適用技術

RPA
ローコード・ノーコード開発
SaaS
aPaaS
要件定義
 

適用サービス

RPAOffice®https://www.mamezou.com/services/strategic/rpaoffice
現場推進型DX支援サービス:https://www.mamezou.com/services/strategic/digitalinnovationoffice